音盤の配置についての考察
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音盤の配置についていままでいろいろと悩まされてきましたが、ここ最近試作でだいぶ理解が進んできましたので少しまとめてみたいと思います。
-音盤の配置で何を目指すのか?-
とりあえず現段階の答えがこちら。
「音盤間のクリアランスを最大限確保できる配置を目指す」
です。
クリアランスを確保したい理由としては以下の二つが挙げられます。
- 不必要なクロストーク(共鳴)を防ぎたい
- 音盤をたくさん詰め込みたい、最大限詰み込みたい。(ミュータントや低音モデルなど)
このほかにも目的があるのかもしれませんが、現在解るのはこれだけです。
では実際にどのように配置するのか、D Celtic 13とB2 Onoleoを例に挙げて説明します。
-D Celtic 13の場合-
ミュータントモデルにおける音盤の配置のポイントとなるのは以下の二つ。
- Dingを中心点から低音側へずらす
- 高音の数(2~4音)に合わせたクリアランスの確保
では実際に見ていきます。
以下さや芯のようにセクション三つに分けて説明します。
Section1
Dingに続く低音2音の長軸をシェルの中心線より傾けて配置します。
これにより縦方向のスペースを節約でき、より低音側にDingを配置できるようになります。
Section2
ここでは両側の隣り合う2音がお互いそっぽ向くように配置します。
これにより高音の両サイドに来る音盤のスペースを確保しています。
Section3
円周に配置している音盤の最高音を90度向きを変えて配置しています。
これにより次にくる高音のスペースを確保しています。
-B2 Onoleoの場合-
低音パンにおける音盤の配置のポイントとなるのは以下の二つ。
※B2を低音パンに分類するかは微妙なところですが、一応低音パンという事で。
- Dingを中心点から高音側へずらす。
- トーンフィールドはシェルの中心線より傾けて配置。
こちらもセクションを分けて説明します。
Section1
Dingを中心点から高音側へずらします。これは必然的にこうせざるおえません。
トーンフィールド最低音と、反対側の最高音のクリアランズ中心点は高音側にずれたところにあります。
Section2
トーンフィールドはシェルの中心線より傾けて配置します。まずこうしないとトーンフィールドでDingに近接する音盤がDingと干渉してしまいます。
それと、ハンドパンは半球状(球ではないが)の形をしています。なので同じ高さで切り取ったとしたら円周に近いほうが表面積が大きくなります。
このように軸を少し傾けることによって、表面積の大きい部分を効率的に使えるので結果クリアランスを最大限に確保できます。(たぶん)
-上記配置方法のデメリット-
何事にもメリットデメリットがあるように、こちらの方法にもデメリットがもれなくついてきます。
それは、
「トーンフィールドの成形の難易度が上がる」
です。
トーンフィールドの成形とは、球面を平面にたたき起こす作業のことです。(ざっくりと説明すると)
トーンフィールドの長軸を中心線に沿って配置すると、トーンフィールドの面はシンメトリーな湾曲になっています。この場合は均等に叩きさえすれば比較的簡単に平面の造形ができます。
しかし上記の方法だと、基本的にトーンフィールドの長軸を中心線から傾けて配置することになります。そうなるとトーンフィールドの面はアシンメトリーな湾曲となり、成形の際にその分を考慮してバランスを整えなければなりません。
これは低音になるほど顕著にあらわれて、造形はとても難しくなります。※実際、B2 OnoleoのF#3は少し失敗してます。
まあこの辺は技術力でカバーできるようになるしかないですね。
まとめ
以上、いろいろと御託を並べましたが、結局この辺の設計思想は各メーカーそれぞれだと思います。
今はひとつのメーカーを参考にしていますが、余裕が出てきたらほかのメーカーの設計とかも考察してみたいですね。
おわり。